架空・お悩み相談室69『生まれたときからオッサンです』
【お悩み】
もうすぐ2歳になる息子のことでご相談します。
とにかく生まれたときから妙に迫力のある顔で、生まれたときは勝新太郎さんにそっくりでした。
そして顔だけでなく態度もオッサンのようで、手を後ろに組み背中を丸めて散歩する姿は校長先生のようです。
電話をイタズラするのが大好きなのですが、受話器を持つ姿はまるで社長か当選5回以上の大物政治家のようです。
しかも最近、赤子のクセに痔を患ってしまいました。
私は母親としてもちろん息子をとても愛しておりますが、もしかしたら本当は、この子の中身は中年のオヤジなのではないかという疑惑がぬぐい去れず、授乳の時にかなり複雑な気持ちになります。
ある日突然「ワシほんまはオッサンやったんや」とカミングアウトされてしまったら、母親として毅然とした態度でいられるかどうか不安です。(奈良県/H垣さんのお悩み)
【お答え】
お喜び申し上げます。
息子さんは、素晴らしい幸運の星の下に生まれておられます。
地球上で、古い習わしを今も残している土地の多くでは、こうした子どもたちは特に喜ばしいものとして尊ばれ、大切にされております。
たとえば北海道のある村で「カムイチリ」、沖縄では「パンギミル」、南米ペルーの高地の一部で「ルロッカコップリ」、アフリカ、マサイ族に近いある部族で「ティクトットゥン」などというのは皆、こうした子どものことで、「神に愛された子」ですとか「祝福された息子」といったような意味です。
こうした子どもたちを特に愛する習慣は、日本ではすっかり廃れて長い年月が経っているようではありますが、実は今でも彼らは周囲に愛され続け、それぞれに素晴らしい幸せな人生を送っています。
思い返せばあなたの学童期にも、学年に一人ほどの割合で、オッサンのような少年がいたのではないでしょうか?
こうした子どもたちは小学校ではたいてい「おじいちゃん」、中学校で「お父さん」、高校に入るころから20代のはじめ頃まで「オッサン」と呼ばれて皆に慕われた後、青年期にはごく普通に「H垣くん」と呼ばれるようになり、30代後半あたりからは「ケンチャン」「ガキっち」などと愛称をつけられて、とくに年配の女性や上司に可愛がられるようになります。長じて還暦記念の同窓会に出席などしようものなら、その昔、紅顔の美少年で鳴らしたKくんや、バレー部のキャプテンで全校のヒーローだったMくんなどが皆、見る影もない姿で女子たちをがっかりさせる中、ただ一人「ぜんぜん年をとらないH垣くん」の輝きが出席者全員をうならせ、憧れのまなざしに囲まれるのは間違いないのです。
ご心配はいりません。息子さんの輝かしい人生は、既に約束されました。
ある日、「ワシほんまはオッサンやったんや」と言われたら、神に愛された子の母として感謝の言葉をもってこたえてやればよいのです。
もうすぐ2歳になる息子のことでご相談します。
とにかく生まれたときから妙に迫力のある顔で、生まれたときは勝新太郎さんにそっくりでした。
そして顔だけでなく態度もオッサンのようで、手を後ろに組み背中を丸めて散歩する姿は校長先生のようです。
電話をイタズラするのが大好きなのですが、受話器を持つ姿はまるで社長か当選5回以上の大物政治家のようです。
しかも最近、赤子のクセに痔を患ってしまいました。
私は母親としてもちろん息子をとても愛しておりますが、もしかしたら本当は、この子の中身は中年のオヤジなのではないかという疑惑がぬぐい去れず、授乳の時にかなり複雑な気持ちになります。
ある日突然「ワシほんまはオッサンやったんや」とカミングアウトされてしまったら、母親として毅然とした態度でいられるかどうか不安です。(奈良県/H垣さんのお悩み)
【お答え】
お喜び申し上げます。
息子さんは、素晴らしい幸運の星の下に生まれておられます。
地球上で、古い習わしを今も残している土地の多くでは、こうした子どもたちは特に喜ばしいものとして尊ばれ、大切にされております。
たとえば北海道のある村で「カムイチリ」、沖縄では「パンギミル」、南米ペルーの高地の一部で「ルロッカコップリ」、アフリカ、マサイ族に近いある部族で「ティクトットゥン」などというのは皆、こうした子どものことで、「神に愛された子」ですとか「祝福された息子」といったような意味です。
こうした子どもたちを特に愛する習慣は、日本ではすっかり廃れて長い年月が経っているようではありますが、実は今でも彼らは周囲に愛され続け、それぞれに素晴らしい幸せな人生を送っています。
思い返せばあなたの学童期にも、学年に一人ほどの割合で、オッサンのような少年がいたのではないでしょうか?
こうした子どもたちは小学校ではたいてい「おじいちゃん」、中学校で「お父さん」、高校に入るころから20代のはじめ頃まで「オッサン」と呼ばれて皆に慕われた後、青年期にはごく普通に「H垣くん」と呼ばれるようになり、30代後半あたりからは「ケンチャン」「ガキっち」などと愛称をつけられて、とくに年配の女性や上司に可愛がられるようになります。長じて還暦記念の同窓会に出席などしようものなら、その昔、紅顔の美少年で鳴らしたKくんや、バレー部のキャプテンで全校のヒーローだったMくんなどが皆、見る影もない姿で女子たちをがっかりさせる中、ただ一人「ぜんぜん年をとらないH垣くん」の輝きが出席者全員をうならせ、憧れのまなざしに囲まれるのは間違いないのです。
ご心配はいりません。息子さんの輝かしい人生は、既に約束されました。
ある日、「ワシほんまはオッサンやったんや」と言われたら、神に愛された子の母として感謝の言葉をもってこたえてやればよいのです。
by atohchie
| 2003-04-01 03:17
| 缶詰製作中(書斎より)
阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。
by atohchie
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阿藤智恵NEWS
●脱原発世界会議に賛同します。安心できる明日を子どもたちに。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
◆これからの阿藤智恵◆
1月19日
「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
3月8・9日
「『えんげき』のじゆうじかん」の
小さなお芝居の会と「ちえよむ会」
●戯曲集『十六夜の月』を出版しました。
ご購入は阿藤智恵への直接注文または書店にてご注文ください。また、ネット書店でも購入できます。
●受賞しました。
加藤健一事務所vol.83 「シュぺリオール・ドーナツ」
念願の翻訳デビュー、果たしました!
→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。
●戯曲『死んだ女』が雑誌【テアトロ】2013年1月号に掲載されました。
★『どこまでも続く空のむこうに』の劇評をいただきました!!大変な力作です。ぜひご一読ください。2012.4.19
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●戯曲『どこまでも続く空のむこうに』が雑誌【テアトロ】2012年4月号に掲載されました。
●小説『マチゾウ』で同人誌【突き抜け4】に参加しました。
ご購入はこちらへ(「阿藤サイトから」と一言お書き添えくださいませ)。
★『曼珠沙華』の劇評をいただきました!!
ぜひご一読ください。2011.10.26
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●公演終了しました。
Pカンパニー番外公演その弐「岸田國士的なるものをめぐって~3人の作家による新作短編集~」竹本譲さん、石原燃さんと、短編を1本ずつ書きました。私の作品タイトルは『曼珠沙華』です。
★雑誌『テアトロ』10月号に三本そろって掲載されています。
●連載エッセイ「本日も行ったり来たり~トハナニカ日記~」
雑誌【テアトロ】2012年1月号に最終回が掲載されています。
●日記のお題、ください!
阿藤への質問、お悩み相談、どのようなことでもどうぞ。心こめて書かせていただきます。
お題は阿藤へのメール、または、日記へのコメント(どの記事につけてくださってもOKです)でどうぞ。
●戯曲『十六夜の月』が雑誌【テアトロ】2011年7月号に掲載されました。
●小説『ツヅキ2011』で同人誌【突き抜け3】に参加しました。
ご購入はこちらのフォームへ(「阿藤のブログから」と一言お書き添えくださいませ)。
●戯曲『バス停のカモメ』が雑誌【テアトロ】2010年1月号に掲載されました。
●戯曲『しあわせな男』が雑誌【テアトロ】2008年10月号に掲載されました。
●石井ゆかりさんの
「石井NP日記」で
インタビューを受けました。
こちらの
「ロードムービー・その1」で5番目にインタビューされています。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
◆これからの阿藤智恵◆
1月19日
「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
3月8・9日
「『えんげき』のじゆうじかん」の
小さなお芝居の会と「ちえよむ会」
●戯曲集『十六夜の月』を出版しました。
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●受賞しました。
念願の翻訳デビュー、果たしました!
→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。
●戯曲『死んだ女』が雑誌【テアトロ】2013年1月号に掲載されました。
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ぜひご一読ください。2011.10.26
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