架空・お悩み相談室34『平常心の在り処は?』
【お悩み】
あたしの身近でもいろいろものが不足して値段が上がったりなんかしてるんですが、まだ誰も気がついてない、いい商品を思いついちゃったんっすよ!それは何かと言うとね、「平常心」でさあ。
あっしは「平常心」をたくさん仕入れて、足りなくて困ってる人ン所に持ってけば飛ぶように売れてパアッと一儲けできる。とまあ思いついちゃったんでさあ。
どうです、すごいでしょう?
でもね、肝心の「平常心」の在り処がわからねえ。そこで先生にご相談って寸法でさあ。もちろんロハで教えてくれだなんてしみったれたこたあ、言いません。儲けは山分け、ってことで一つ教えてやってくんなまし。!(東京都/たかしなさんのお悩み)
【回答】
そりゃ、うまいこと考えなすったね!さすがは強欲のたかしなさんだ。確かに今の世の中、平常心ほどみんなが喉から手が出るほど欲しがってるものはないやね!
と、さすがの私も胸がドキドキしてしまいましたが、ちょっと待て、うまい話にゃ裏がある、と私の平常心が申します。ここは落ち着いて、よく考えてみましょう。
たかしなさんは、「平常心」の仕組みをご存知でしょうか。
動乱の世の中に泰然と落ち着き、先を見通す目を持って的確な行動を取ることができるような心は、どういった心でしょうか。
考えてみてください。ここに小さな金魚鉢があるとします。中にはきれいな赤い金魚と、水草が入っています。これを両手で持って揺らしますと、水がばちゃばちゃと揺れ動き、とびはね、ことによると金魚が外にこぼれてしまうかもしれず、そうはならなくても、静かになった時、水は少なくなっていて、水草はみじめに横倒しになり、金魚は苦しそうに口をあけるでしょう。
これが、ことに及んで動揺する人の心です。
では次に、両手にこの金魚鉢を持ったあなたを、もっと大きな誰かが揺らすことを考えてみましょう。あなたは大切な金魚を守るため、最初は金魚鉢をしっかりと抱え込みます。しかしそれでは水が大きく揺れ、金魚を守れないと気づいたあなたは、体をやわらかくし、揺れが金魚鉢まで伝わらないよううまくバランスを取って揺れを吸収しようとするでしょう。何度か小さく水をこぼしてしまっても、そのうちにあなたはコツをつかみ、どんなに大きく揺らされても、水が大きくとび跳ねたり、金魚がこぼれおちたりしないように体を動かすことができるようになります。
これが、平常心を持つ人の心です。
つまり、平常心とは、心そのものではなく、その心を守る仕組みのことであって、ことに及んで動揺する人の心よりもずっと大きく、しなやかに揺れ動くものなのです。
いかがでしょう、平常心の在り処、おわかりになりましたか?
あたしの身近でもいろいろものが不足して値段が上がったりなんかしてるんですが、まだ誰も気がついてない、いい商品を思いついちゃったんっすよ!それは何かと言うとね、「平常心」でさあ。
あっしは「平常心」をたくさん仕入れて、足りなくて困ってる人ン所に持ってけば飛ぶように売れてパアッと一儲けできる。とまあ思いついちゃったんでさあ。
どうです、すごいでしょう?
でもね、肝心の「平常心」の在り処がわからねえ。そこで先生にご相談って寸法でさあ。もちろんロハで教えてくれだなんてしみったれたこたあ、言いません。儲けは山分け、ってことで一つ教えてやってくんなまし。!(東京都/たかしなさんのお悩み)
【回答】
そりゃ、うまいこと考えなすったね!さすがは強欲のたかしなさんだ。確かに今の世の中、平常心ほどみんなが喉から手が出るほど欲しがってるものはないやね!
と、さすがの私も胸がドキドキしてしまいましたが、ちょっと待て、うまい話にゃ裏がある、と私の平常心が申します。ここは落ち着いて、よく考えてみましょう。
たかしなさんは、「平常心」の仕組みをご存知でしょうか。
動乱の世の中に泰然と落ち着き、先を見通す目を持って的確な行動を取ることができるような心は、どういった心でしょうか。
考えてみてください。ここに小さな金魚鉢があるとします。中にはきれいな赤い金魚と、水草が入っています。これを両手で持って揺らしますと、水がばちゃばちゃと揺れ動き、とびはね、ことによると金魚が外にこぼれてしまうかもしれず、そうはならなくても、静かになった時、水は少なくなっていて、水草はみじめに横倒しになり、金魚は苦しそうに口をあけるでしょう。
これが、ことに及んで動揺する人の心です。
では次に、両手にこの金魚鉢を持ったあなたを、もっと大きな誰かが揺らすことを考えてみましょう。あなたは大切な金魚を守るため、最初は金魚鉢をしっかりと抱え込みます。しかしそれでは水が大きく揺れ、金魚を守れないと気づいたあなたは、体をやわらかくし、揺れが金魚鉢まで伝わらないよううまくバランスを取って揺れを吸収しようとするでしょう。何度か小さく水をこぼしてしまっても、そのうちにあなたはコツをつかみ、どんなに大きく揺らされても、水が大きくとび跳ねたり、金魚がこぼれおちたりしないように体を動かすことができるようになります。
これが、平常心を持つ人の心です。
つまり、平常心とは、心そのものではなく、その心を守る仕組みのことであって、ことに及んで動揺する人の心よりもずっと大きく、しなやかに揺れ動くものなのです。
いかがでしょう、平常心の在り処、おわかりになりましたか?
by atohchie
| 2002-04-01 09:47
| 缶詰実験室(お芝居への道)
阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。
by atohchie
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●脱原発世界会議に賛同します。安心できる明日を子どもたちに。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
◆これからの阿藤智恵◆
1月19日
「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
3月8・9日
「『えんげき』のじゆうじかん」の
小さなお芝居の会と「ちえよむ会」
●戯曲集『十六夜の月』を出版しました。
ご購入は阿藤智恵への直接注文または書店にてご注文ください。また、ネット書店でも購入できます。
●受賞しました。
加藤健一事務所vol.83 「シュぺリオール・ドーナツ」
念願の翻訳デビュー、果たしました!
→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。
●戯曲『死んだ女』が雑誌【テアトロ】2013年1月号に掲載されました。
★『どこまでも続く空のむこうに』の劇評をいただきました!!大変な力作です。ぜひご一読ください。2012.4.19
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●戯曲『どこまでも続く空のむこうに』が雑誌【テアトロ】2012年4月号に掲載されました。
●小説『マチゾウ』で同人誌【突き抜け4】に参加しました。
ご購入はこちらへ(「阿藤サイトから」と一言お書き添えくださいませ)。
★『曼珠沙華』の劇評をいただきました!!
ぜひご一読ください。2011.10.26
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●公演終了しました。
Pカンパニー番外公演その弐「岸田國士的なるものをめぐって~3人の作家による新作短編集~」竹本譲さん、石原燃さんと、短編を1本ずつ書きました。私の作品タイトルは『曼珠沙華』です。
★雑誌『テアトロ』10月号に三本そろって掲載されています。
●連載エッセイ「本日も行ったり来たり~トハナニカ日記~」
雑誌【テアトロ】2012年1月号に最終回が掲載されています。
●日記のお題、ください!
阿藤への質問、お悩み相談、どのようなことでもどうぞ。心こめて書かせていただきます。
お題は阿藤へのメール、または、日記へのコメント(どの記事につけてくださってもOKです)でどうぞ。
●戯曲『十六夜の月』が雑誌【テアトロ】2011年7月号に掲載されました。
●小説『ツヅキ2011』で同人誌【突き抜け3】に参加しました。
ご購入はこちらのフォームへ(「阿藤のブログから」と一言お書き添えくださいませ)。
●戯曲『バス停のカモメ』が雑誌【テアトロ】2010年1月号に掲載されました。
●戯曲『しあわせな男』が雑誌【テアトロ】2008年10月号に掲載されました。
●石井ゆかりさんの
「石井NP日記」で
インタビューを受けました。
こちらの
「ロードムービー・その1」で5番目にインタビューされています。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
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