カテゴリ:水曜日は本の話( 83 )

本の私有革命について(その5)

2013年11月4日。
記念すべき、わたしが、さまざまの葛藤を乗り越え、とうとう本を私有化した日、
すなわち、手持ちの本に、線を引いた日です。

記念すべき箇所を、ここに引用しようと思って開いてみたが、
残念なことに実にマニアックすぎて、さっぱり意味がわからない語句であった。
そういうわけで、初めて線を引いた箇所ではありませんが、
同じ本の中から、独立して意味をなしそうな箇所を、記念としてここに。

もちろん≪歴史的条件≫というものを暗黒な力(背景)として考えることは
許されない。(またそうしたものとして構成することも許されない。)それは
むしろ、人間によってつくられ、たもたれる(そして人間によって変え
られる)
ものである。つまり、今まさにそこで行なわれつつある
ことから成り立っているのだ。

  『今日の世界は演劇によって再現できるか ―ブレヒト演劇論集―』 
                                        千田是也訳編  白水社


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by atohchie | 2013-12-18 23:29 | 水曜日は本の話

本の私有革命について(その4)

そう、そのようにして、とうとう、機は熟した。
今、やるしかない、そう思ったわたしは、
本を前に、何度もペンを握った。
が、できない。
できないのです。
幼い頃から心身に刷り込まれた
「本は、みんなのもの よごしたり おったりしないで だいじにあつかいましょう」
が、解けないのです。
刷り込み、恐るべし。

いよいよ困ったわたしの目の前に現れたのが
この新聞記事であった。

毎日新聞 2013年10月18日(金)朝刊
論点[国のために死ぬこと]。

左上に、「国家神道の主な変遷」として簡単な年表が付され
3人の論者が、
国家儀礼としての戦没者追悼について
靖国体系の歴史について
「国家のため」という枠組みに収まりきらない「一個の死」について
稿を寄せているのであります。

興味ぶかそうな1ページではないか!
けど寝起きのねぼけあたまに、
文字のぎっしり詰まったオピニオンページは難しかった。
何度読んでも目が活字の上を素通りしていく。

ついにわたしは鉛筆を手にとった!

革命の発端を読みますか。
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by atohchie | 2013-12-11 15:52 | 水曜日は本の話

本の私有革命について(その3)

あんまり、「年とったなあ」と思うことは、わたしはなくて
だって、膝なんか、30くらいの時から痛かったし
遠視で乱視の眼は、先生にしつこく
「これは老眼とは違うんだ、遠視なんだよ、あなたの眼は」
と言われ続けてきたし
都会暮らしだった若い時より、山のふもとに暮らす今の方が足腰は丈夫だし

でも
でもね
そういえば

本を読んでいて、「あ、ここ」と思った箇所があったとき
そのまんまのスピードで、最後まで読みとおしてから
前は、どのくらいの場所の、左右どちらのページのどのあたりに
メモすべきところがあるか、ちゃーんと覚えていて
もう一度ぱっとそこを開いて、落ち着いて、ノートをとることができたのです。
いや、ほんとに。

それが、いつごろからだったかしら。
「あ、ここ」と思った箇所が、何箇所か、あったなあ……
と思っても、あれ、この本だっけ、もしかしたら、その前に読んだあの本かしら
あら、どこだったっけ、あらら、何度ページを繰っても見つからない
そんな、もどかしい思いに、たびたび、見舞われるようになったのです。

これなんですね、老化って。
ま、この秋、「老人性いぼ」を頬に生じせしめた時も、これなんだねって思ったけれど
生活の上で、どっちが実際に、支障をきたすかと言えば
圧倒的に、せっかく読んだ本を、忘れるってことなんだなあ。
自分の顔なんか、1日に3分も見ないしね。

それでも人間、自分の老化はなかなか認められないもの。
本を読んでいて、「あ、ここ」と思っても、「いまメモとらなくちゃ忘れる」と思っても
読んでるスピードが気もちよくて、もっと先が読みたくて、
本を脇において、ノートとペンをとりだすことができなくて、
何度も、なんども、「あーあ、どこかに素敵なことが書いてあったのにな」。

で、ですよ。
とうとう、思いました。
こりゃ、だめだ。
誰かにまわすことがとってもしにくくなるけれど
読んだそのとき、線をひかなきゃだめなんだ。
ペンを持って、いざというときに備えて、読みながら
本そのものに、メモをとる、そうしなくっちゃ、だめらしい。

思ったのだが、わたしにとって、その道のりは遠かった。

このお話は、もう少し、続く……。
木曜日だけど、本の話、でした。
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by atohchie | 2013-11-28 16:04 | 水曜日は本の話

本の私有革命について(その2)

さて、水曜日は本の話。

先々週のつづきをお話します。(前回の話はこちら)

小学生の時、お年玉の図書券で、『ドリーナ・アダムス』シリーズを買ったほかは
文庫本や漫画、それから料理や手芸の実用書は買えても
ハードカバーの本にはずっと手が出せなかった。
そういう本を買うのはとてつもない贅沢なことだった。

なんといっても本を買ったら置き場に困る。
20代半ばで家を離れてからはずっと「仮住まい」感覚で生きてきたので
ものを増やすときはどんなものであれ、引っ越しのことを考える。
引っ越しをしてみたらわかるけど、本の重量ときたらまったく、大変なのだ。
衣類なんかはうまく詰めればかなりの量が箱や引き出しに入るけど
本ときたら、これ以上圧縮しようのない形状と重さなのだ。
使って古びて自然に新陳代謝される消耗品とは違って
いったん敷居を跨がせたら、いつまでも家の中にありつづける。
本は、実に厄介だ。
……と長く思ってきたから、わたしの部屋で、本を増やすことは禁忌だった。

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by atohchie | 2013-11-20 13:59 | 水曜日は本の話

本の私有革命について(その1)

さて水曜日は本の話。

今週は、ごく最近起きた、「本の私有革命」についてお話しします。

「わたしの本はわたしの本」という当たり前のことを思っている方にとって
ずいぶんと奇妙に思われる話に違いありません。
長い話になりそうな悪い予感がします。

革命に至るまでの、ざっとした経緯を、まずはお話しせねばなりません。
今夜はその話。

そもそも、わたしにとって、長らく本は、公共物でありました。

それがどうやら、少しおかしいらしいと気づいたのは、この秋のことです。
本は、モノだということ
借りたモノでなければ、わたしのモノだから、私有物なのだということ
よく考えたら、当り前なのだけれど、呑み込むのは、大変だった。

本が公共物であった話を読みますか?
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by atohchie | 2013-11-06 22:09 | 水曜日は本の話

うまく生きる方法【リプレイ】

さて水曜日は本の話。

これは私の記憶の中の、本の話です。
昨日読んだ本でさえ、思い出して語ろうとすると筋はごちゃごちゃ、
他の本と混じったり、存在しないエピソードが紛れ込んだり、
まったく正確ではないことが多いのですけれど、
この日記ではあえて、読み直して確認したりせずに、
間違っているかもしれないことを書きます。勝手な本の話です。


最近、「うまく生きる」ことについて、考えています。
わたし自身が、「うまく生きたい」と考えているのではなくて、
悩んでいる人に、会うことが増えました。
人の悩みは人それぞれだから、
簡単にまとめてしまうのはよくないけれど
最近あったみんなの悩みは、「うまく生きられない」ということばで現せる気がして
今日の「本の話」はなんにしようかな、と書棚の前をうろうろしていたら
この本が、目につきました。
「うまく生きたい!生きられない!」
文化学院で教えていた頃は、たくさん聞いた叫びでしたけれど
このごろ、少し、遠ざかっていたことに、気づきました。
これは何も、今どきの悩みではなくて
昔から多くの人が悩んできたことで
わたし自身にも、もちろんそういう季節がありました。

で、この本です。
『リプレイ』。

『リプレイ』の話を読みますか?
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by atohchie | 2013-10-30 19:42 | 水曜日は本の話

見えない女【ワーニャ伯父さん】

さて木曜日ですが本の話。

これは私の記憶の中の、本の話です。
昨日読んだ本でさえ、思い出して語ろうとすると筋はごちゃごちゃ、
他の本と混じったり、存在しないエピソードが紛れ込んだり、
まったく正確ではないことが多いのですけれど、
この日記ではあえて、読み直して確認したりせずに、
間違っているかもしれないことを書きます。勝手な本の話です。


チェーホフ四大戯曲の、残る一本がこれ。
『ワーニャ伯父さん』です。
他の三本に比べ、登場人物が多すぎなくてシンプルで
いくつもの三角関係が重なる恋愛ドラマもわかりやすく
とっつきやすい一本。
わたしも、『三人姉妹』の次に大好きになりました。
が、作品に書けておりません。
それは、ひとえに、波乱を含みつつも静かに穏やかに暮していた
ワーニャ伯父さんと姪のソーニャの暮らしをおおいにかきまわした
張本人、美しき若妻、エレーナという女のせいです。

『ワーニャ伯父さん』の話を読みますか?
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by atohchie | 2013-10-24 13:28 | 水曜日は本の話

去りゆくものを見つめる【桜の園】

さて水曜日は本の話。

これは私の記憶の中の、本の話です。
昨日読んだ本でさえ、思い出して語ろうとすると筋はごちゃごちゃ、
他の本と混じったり、存在しないエピソードが紛れ込んだり、
まったく正確ではないことが多いのですけれど、
この日記ではあえて、読み直して確認したりせずに、
間違っているかもしれないことを書きます。勝手な本の話です。


『桜の園』は芝居に書いています。
4年間つとめた文化学院で、最後につくった芝居でした。
文化学院は当時、3年制の専修学校だったので、
勤め始めて2年目に入学してきた学生たちの卒業公演でした。
新規の募集がなくなって、彼らには卒公を支えてくれる下級生がいなかった。
1年生の時からずっと、公演の度に先輩たちを手伝い、送り出してきた彼らの
公演は、だから、数人の先輩たち、クラスメイト、先生がたに応援をもらって
外部からお願いしたスタッフの方々にも、ものすごくたくさんのご助力をいただいて
なんとか、かんとか、やっていくしかない。
それでも、お手伝いの人数はほんの少し、
膨大な作業はほとんど自分たちでやらなくてはならないうえに
少人数で一人ひとりのセリフは多くなるし、全員が出ずっぱりになる、
難しい芝居をやるのが大変なのは明らかでした。
それでも、自分たちで最後になる創造表現科の卒業公演には
「歴史に爪痕を残す」ものがやりたい、と、果敢にも彼らは言うのでした。

そうなれば、『桜の園』しかないと思いました。

「桜の園」の話を読みますか?
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by atohchie | 2013-10-16 11:16 | 水曜日は本の話

消えていく光【かもめ】

と、いうわけで、金曜日ですが、本の話。

これは私の記憶の中の、本の話です。
昨日読んだ本でさえ、思い出して語ろうとすると筋はごちゃごちゃ、
他の本と混じったり、存在しないエピソードが紛れ込んだり、
まったく正確ではないことが多いのですけれど、
この日記ではあえて、読み直して確認したりせずに、
間違っているかもしれないことを書きます。勝手な本の話です。


原点に戻って『三人姉妹』、のあとは当然これです、『かもめ』です。
チェーホフの四大戯曲と呼ばれる作品、執筆順では
『三人姉妹』はあとのほうで、これが1本目。

四本のうち、最初に『三人姉妹』を好きになったのは
単純に、出会った作品だったからというのも大きいけど、
あれはやっぱり、わかりやすい。
先週あれだけわからないと言ったけど、それでもわかりやすい。
わたしが出会ったのはちょうど一幕のイリーナと同じ二十歳のとき。
出会った瞬間から、あの戯曲が(正確に言えば「モスクワへ!」のセリフが)
大好きでした。
そう、成人式の日もジャージ姿で稽古をしていた学生時代。
そんなつまんないことが、なぜだかものすごく誇らしかった
遠い日のわたしでした(いや、そういうところ、変わっていないかも)。

その後、長い間、わたしはチェーホフ、わからない、わからないと
思い続けて、『かもめ』を好きになるのもとても遅かった。

『かもめ』の話を読みますか?
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by atohchie | 2013-10-04 16:35 | 水曜日は本の話

なぜ生きていくのか【三人姉妹】

さて水曜日は本の話。

これは私の記憶の中の、本の話です。
昨日読んだ本でさえ、思い出して語ろうとすると筋はごちゃごちゃ、
他の本と混じったり、存在しないエピソードが紛れ込んだり、
まったく正確ではないことが多いのですけれど、
この日記ではあえて、読み直して確認したりせずに、
間違っているかもしれないことを書きます。勝手な本の話です。


ふと、原点に戻ってみようと思いまして、今日は、『三人姉妹』。

わたしはチェーホフについてほとんど何も知らない。
ほとんどの作品を読んでいない。
この戯曲も、わかるのかと問われたら、迷わず、わからない、と答える。
わからないから、好きなのであって
読むたびに、舞台を見るたびに、違う世界が立ち上がるから好きなのであって
物知りな人がきいたら噴飯ものかもしれない妄想を
いつも、いつも、楽しんでいる。

『三人姉妹』の話を読みますか?
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by atohchie | 2013-09-25 21:11 | 水曜日は本の話


阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。


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067.gif→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。

●戯曲『死んだ女』が雑誌【テアトロ】2013年1月号に掲載されました。テアトロ1月号

★『どこまでも続く空のむこうに』の劇評をいただきました!!大変な力作です。ぜひご一読ください。2012.4.19
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劇評サイトWonderland



●戯曲『どこまでも続く空のむこうに』が雑誌【テアトロ】2012年4月号に掲載されました。
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ご購入はこちらへ(「阿藤サイトから」と一言お書き添えくださいませ)。


★『曼珠沙華』の劇評をいただきました!!

ぜひご一読ください。2011.10.26
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland


●公演終了しました。

Pカンパニー番外公演その弐「岸田國士的なるものをめぐって~3人の作家による新作短編集~」竹本譲さん、石原燃さんと、短編を1本ずつ書きました。私の作品タイトルは『曼珠沙華』です。
★雑誌『テアトロ』10月号に三本そろって掲載されています。
テアトロ10月号

●連載エッセイ「本日も行ったり来たり~トハナニカ日記~」
雑誌【テアトロ】2012年1月号に最終回が掲載されています。
テアトロ1月号

●日記のお題、ください!
阿藤への質問、お悩み相談、どのようなことでもどうぞ。心こめて書かせていただきます。
お題は阿藤へのメール、または、日記へのコメント(どの記事につけてくださってもOKです)でどうぞ。



●戯曲『十六夜の月』が雑誌【テアトロ】2011年7月号に掲載されました。
テアトロ7月号

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●戯曲『バス停のカモメ』が雑誌【テアトロ】2010年1月号に掲載されました。
テアトロ1月号

●戯曲『しあわせな男』が雑誌【テアトロ】2008年10月号に掲載されました。
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