架空・お悩み相談室83『計画性のない息子』

【お悩み】
我が家の息子は全く計画性というものがありません。たとえば、中学生のときは、休み中の宿題である数学の問題集丸ごと1冊を始業式の前々日にようやくまっさらのままであることに気がつき、動転するでもなく、「明日やるわ」と言うのです。
高校生になっても「腹空いた!」と食卓につくや、お茶をがぶ飲みしたあげく、「腹減ってるのに水っ腹になってもう無理」と食事を残し、「あとで食べるわ」とのたまいます。

そうです。家族はたまったものではありません。毎日がこんな具合ですが、息子が先々を考えて、◯◯したら、××なるから、△△しよう、なんて考える気配はありません。

こんなことでいいわけないと思うのですが、一体どうしたらいいでしょうか。(兵庫県/たまさんのお悩み)

【お答え】
今を去ること二千年以上の昔、インドには仏陀の教えを直接受けた弟子たちがあまたあって、仏教の真髄を伝えておりました。ただいま最も尊ばれているのは十大弟子といわれる面々ですが、実はその当時、最も人々の尊敬を集め、最も大きな影響を及ぼした弟子の名は、歴史の中に埋もれてほとんど残っておりません。しかし、この人物、わずかに残された伝承の中で、コーナンダと呼ばれたその人こそ、真実の仏陀の教えを体現する存在であったことは、様々の史料から確かなことと考えられております。

コーナンダはこのように語った、と言われています。

仏陀の教えとは、畢竟、あなたがたは今すぐ、しあわせになることができるのであり、またそうなるべきであるということだ。宇宙の法により生かされた森羅万象は、つねにそのあるべき姿でこの世に存在しているものであり、あなたがたもまた、そうである。あなたがたはなにゆえ思い悩むのか。わたしたちのもつものは、「いま」「ここ」のみである。「過去」も「未来」もわたしたちのものではない。それなのにあなたがたはなにゆえ思い悩むのか。考えてみなさい。あなたがたの幸せを疵つけるもののひとつひとつの名を上げ、それが真実「いま」「ここ」にあるものかどうかを確かめてみなさい。そうして、あなたがたは、「いま」「ここ」にあるもの以外は、すべて手放すべきである。そうすれば、あなたがたは自らがあるべき姿で「いま」「ここ」にあることを理解することができ、あなたがたのしあわせを疵つけるものは真実なにひとつないことに気づくであろう。森の生き物を見よ。どの栗鼠が過去の苦しみを抱き続けているであろう。どの啄木鳥が未来の飢えを恐れているであろう。
ある人が聞いた。しかし先生、森の生き物たちも未来の飢えを恐れます。栗鼠たちは秋になると、木の実を集め、穴に蓄えるではありませんか。その通りである、先生は答えた。栗鼠たちは寒さの知らせを受けたために、その寒さをしのぐ分だけ、木の実を集めるのである。あなたがたのように、再来年の、三年後の、十年後の飢えに備える栗鼠はいないし、また、そのようなことは不可能である。寒さの知らせがあれば、寒さに備えなさい。知らせがないのに寒さを憂えるのは、あなたを幸せから遠ざける忌まわしい行いである。宇宙の法により生まれてきたわたしたちは皆、しあわせになることが唯一の務めなのだ。

お悩みを拝見して、コーナンダを思い出したのは、ほかでもありません、あなたの息子さんは、まさにコーナンダの教えた通りの生き方を、実践していらっしゃるように思えてならないからです。

その昔、世の人々をかくもしあわせに近づけたコーナンダの教えが急速に忘れ去られていったのは、人々が国家というものにかぞえられる存在になったときであることを、お伝えしておきたいと思います。国家は人々を組織しました。国を富ませ、他国に圧するためです。「いま」「ここ」のしあわせだけを考える人は、軍隊に入ることはできません。「いまはどこにもない」危機、「いまはどこにもない」敵を憂え、心から恐れることのできる人だけが、優秀な兵士になれるのです。
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by atohchie | 2003-04-01 05:07 | 缶詰製作中(書斎より)


阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。


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