架空・お悩み相談室72(前篇)『「おさんどん」の本当の意味は?』

【お悩み】
辞書を調べてみましたところ、「おさんどん」とは、三度三度台所にたつことから、台所仕事のことを指すのだそうです。確かにそのような意味として日常用いておりました。辞書には、「お三どん」とも書かれ、まかないの女中さんを「おさん」と呼んでいたとも書かれています。
でも、なにかしっくりこないような気もするのです。こういうときは、こちらの道場にお尋ねするのに限ります。
「おさんどん」の本当の意味を教えてください。(高知県/はちきんさんのお悩み)

【お答え】
おやおや。これは少々やっかいなお悩みが届きました。
「おさんどん」の本当の意味をお答えするには、世界三大物語の一つといわれる『十姉妹の物語』を語らねばなりません。
世界三大物語と呼ばれた物語のうち、今も人口に膾炙しているのは『千夜一夜物語』ただ一つなのは皆様よくご存じの通りですが、忘れられた二つの物語のうち、おさんどんの秘密を語る『十姉妹の物語』が忘れ去られてしまったのはその長さによるものであって、もう一つの『太鼓の中に住んだ男の物語』のように、その退屈さのためではありません。それどころか、『十姉妹の物語』では調子のいい歌がいくつも歌われ、楽しく人を笑わせる踊りもつき、その歌にはさまざまの生活の智恵が織り込まれ、村々で年かさの者が下の世代に語り伝えるべきすべてが既に含まれている上に、そのときその時に必要な新しい智恵を織り込むことが容易にできたため、本当に長い長い、長い間、愛され続けてきたのです。人々が事あるごとに集まっては皆で歌い、踊り、物語を語っては幾夜も過ごす風習は、太古の昔からごく最近に到るまで、人類の歴史のほぼすべてと言っていいくらい長い歳月続いてきたものであって、『十姉妹の物語』が失われたのはほんのここ百年の出来事ですのに、今、この物語をここに完璧な形で記すことができないのは無念としか言いようがありませんが、幸運にも、世界に断片的に残された物語のせめてかけらなりと、かき集めたものは私の手元にございます。ただし、かけらの寄せ集めではあっても、少し長めのお答えになることは間違いございません。厄介な、と申し上げたのはそのことでございます。この道場では、お答えは可能な限り簡潔に、短くまとめることを旨として参りましたが、この壮大な物語を語らねばならない今回だけは特別に、前・中・後篇の3回に分けてお答えいたしましょう。
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by atohchie | 2003-04-01 03:41 | 缶詰製作中(書斎より)


阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。


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