沿岸の河童 つづき
「奇跡の一本松」を遠くから写真に収めて
いよいよお腹がすいてふらふらになった河童たちは
車を走らせてお昼を食べる場所を探した。
あちこちで、プレハブや、バスを利用した仮設店舗のお店が
営業してて、でも、通り過ぎてから「あ、今、ラーメンって書いてた!」と
誰かが叫んだときにはすっかり遠くなっていたり、
「カフェ」と看板を見てあわててUターンして、
ほんとにこんなところにカフェあるのかしら?と細い道を入って行って、
「あった!」と思ったら本日貸切、だったり、
だいぶうろうろして、とうとう見つけたお店に
河童はこれがどこなのかもよくわかんないまま入った。
外側から見ればプレハブの仮設店舗だけれど、
一歩中に入れば、まったく立派な、
まったく「普通」の、
お昼時の、大変混雑した
にぎやかなお蕎麦屋さん。
お蕎麦屋さんのどんぶりって美味しいんだよねーと
河童は大好きな親子丼ときつねうどん食べて
(は!お蕎麦屋さんなのにうどんを食べてしまった!)
お腹ぽんぽこりんになって、大満足した。
そんで、お隣の雑貨屋さんと、お菓子屋さんでお土産買って
とっても嬉しかったんだった。
家に帰ってから新聞を見たら、
偶然見つけたあのお蕎麦屋さんが、
前から新聞で読んでたあのお蕎麦屋さんだったってことに
やっと気づいた。
ドキュメントにっぽんの絆:3・11それから
岩手・陸前高田 流された「そば屋」
岩手・陸前高田 「そば屋」再建
岩手・陸前高田 そば屋再開- 毎日jp
去年からずっとずっと、岩手行きたいねってずっと言ってたのに
なかなか行けないでいて、
なんでそれだけのことができないんだろって、どうにも情けない思いでいたけれど
4月にいわきや石巻に行った時のことを思うと
6月に入ってからの訪問は、
それはそれで、きっとよいタイミングだったんだなって思った。
大変な大変な思いをして「ごく普通の」「なんの変哲もない」暮しを
取り戻そうとしているたくさんの方たちのお店で
大したことじゃないけど、ごくわずかだとしても、
お買い物をすることができたのは、とても嬉しかったから。
地震や津波だけじゃない、
ひとの毎日にはたくさんの恐ろしい悲しい理不尽がいつも降りかかっていて、
東北まで行かなくても、
きっと駅前のあのお店も、郵便局の脇のあの医院も、
電車で隣り合わせになったあのおじさんも、
道端ですれ違ったあのきれいな娘さんも、
きっと、何かしら大変な大変な思いをして、当たり前の顔をしているんだろう
と考えてみると、
河童はなんだかとてもおそろしいような、ありがたいような、
不思議な気もちになるんだった。
そんでもそれは、わりと、嬉しいようなこそばゆいような、
しんそこ悲しいような気もちでもあるんだった。
雑貨屋さんと、お菓子屋さんで買ったお土産は、
手ぬぐいハンカチもお煎餅もゆべしもとっても喜んでもらえたし、
焼きドーナツは旅から帰った後、自分で食べてとてもおいしかった。
でも、やぶ屋さんでは、やっぱりお蕎麦を食べればよかったな。
いよいよお腹がすいてふらふらになった河童たちは
車を走らせてお昼を食べる場所を探した。
あちこちで、プレハブや、バスを利用した仮設店舗のお店が
営業してて、でも、通り過ぎてから「あ、今、ラーメンって書いてた!」と
誰かが叫んだときにはすっかり遠くなっていたり、
「カフェ」と看板を見てあわててUターンして、
ほんとにこんなところにカフェあるのかしら?と細い道を入って行って、
「あった!」と思ったら本日貸切、だったり、
だいぶうろうろして、とうとう見つけたお店に
河童はこれがどこなのかもよくわかんないまま入った。
一歩中に入れば、まったく立派な、
まったく「普通」の、
お昼時の、大変混雑した
にぎやかなお蕎麦屋さん。
お蕎麦屋さんのどんぶりって美味しいんだよねーと
河童は大好きな親子丼ときつねうどん食べて
(は!お蕎麦屋さんなのにうどんを食べてしまった!)
お腹ぽんぽこりんになって、大満足した。
そんで、お隣の雑貨屋さんと、お菓子屋さんでお土産買って
とっても嬉しかったんだった。
家に帰ってから新聞を見たら、
偶然見つけたあのお蕎麦屋さんが、
前から新聞で読んでたあのお蕎麦屋さんだったってことに
やっと気づいた。
ドキュメントにっぽんの絆:3・11それから
岩手・陸前高田 流された「そば屋」
岩手・陸前高田 「そば屋」再建
岩手・陸前高田 そば屋再開- 毎日jp
去年からずっとずっと、岩手行きたいねってずっと言ってたのに
なかなか行けないでいて、
なんでそれだけのことができないんだろって、どうにも情けない思いでいたけれど
4月にいわきや石巻に行った時のことを思うと
6月に入ってからの訪問は、
それはそれで、きっとよいタイミングだったんだなって思った。
大変な大変な思いをして「ごく普通の」「なんの変哲もない」暮しを
取り戻そうとしているたくさんの方たちのお店で
大したことじゃないけど、ごくわずかだとしても、
お買い物をすることができたのは、とても嬉しかったから。
地震や津波だけじゃない、
ひとの毎日にはたくさんの恐ろしい悲しい理不尽がいつも降りかかっていて、
東北まで行かなくても、
きっと駅前のあのお店も、郵便局の脇のあの医院も、
電車で隣り合わせになったあのおじさんも、
道端ですれ違ったあのきれいな娘さんも、
きっと、何かしら大変な大変な思いをして、当たり前の顔をしているんだろう
と考えてみると、
河童はなんだかとてもおそろしいような、ありがたいような、
不思議な気もちになるんだった。
そんでもそれは、わりと、嬉しいようなこそばゆいような、
しんそこ悲しいような気もちでもあるんだった。
雑貨屋さんと、お菓子屋さんで買ったお土産は、
手ぬぐいハンカチもお煎餅もゆべしもとっても喜んでもらえたし、
焼きドーナツは旅から帰った後、自分で食べてとてもおいしかった。
でも、やぶ屋さんでは、やっぱりお蕎麦を食べればよかったな。
河童の旅日記 6月2日のはなし(5)
by atohchie
| 2012-06-15 15:22
| ひと/たび/であい
阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。
by atohchie
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阿藤智恵NEWS
●脱原発世界会議に賛同します。安心できる明日を子どもたちに。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
◆これからの阿藤智恵◆
1月19日
「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
3月8・9日
「『えんげき』のじゆうじかん」の
小さなお芝居の会と「ちえよむ会」
●戯曲集『十六夜の月』を出版しました。
ご購入は阿藤智恵への直接注文または書店にてご注文ください。また、ネット書店でも購入できます。
●受賞しました。
加藤健一事務所vol.83 「シュぺリオール・ドーナツ」
念願の翻訳デビュー、果たしました!
→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。
●戯曲『死んだ女』が雑誌【テアトロ】2013年1月号に掲載されました。
★『どこまでも続く空のむこうに』の劇評をいただきました!!大変な力作です。ぜひご一読ください。2012.4.19
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●戯曲『どこまでも続く空のむこうに』が雑誌【テアトロ】2012年4月号に掲載されました。
●小説『マチゾウ』で同人誌【突き抜け4】に参加しました。
ご購入はこちらへ(「阿藤サイトから」と一言お書き添えくださいませ)。
★『曼珠沙華』の劇評をいただきました!!
ぜひご一読ください。2011.10.26
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●公演終了しました。
Pカンパニー番外公演その弐「岸田國士的なるものをめぐって~3人の作家による新作短編集~」竹本譲さん、石原燃さんと、短編を1本ずつ書きました。私の作品タイトルは『曼珠沙華』です。
★雑誌『テアトロ』10月号に三本そろって掲載されています。
●連載エッセイ「本日も行ったり来たり~トハナニカ日記~」
雑誌【テアトロ】2012年1月号に最終回が掲載されています。
●日記のお題、ください!
阿藤への質問、お悩み相談、どのようなことでもどうぞ。心こめて書かせていただきます。
お題は阿藤へのメール、または、日記へのコメント(どの記事につけてくださってもOKです)でどうぞ。
●戯曲『十六夜の月』が雑誌【テアトロ】2011年7月号に掲載されました。
●小説『ツヅキ2011』で同人誌【突き抜け3】に参加しました。
ご購入はこちらのフォームへ(「阿藤のブログから」と一言お書き添えくださいませ)。
●戯曲『バス停のカモメ』が雑誌【テアトロ】2010年1月号に掲載されました。
●戯曲『しあわせな男』が雑誌【テアトロ】2008年10月号に掲載されました。
●石井ゆかりさんの
「石井NP日記」で
インタビューを受けました。
こちらの
「ロードムービー・その1」で5番目にインタビューされています。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
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「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
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