架空・お悩み相談室38『ダンゴ虫さんの謎』
【お悩み】
暗いところを好むはずのダンコ虫さんが何故にわが家のどこかの隙間からリビングの床まで這い上がってきて、お日様のさんさんと降り注ぐ窓際をうろうろしているのか、教えてください。だいたい、ダンコ虫さんは床下にじっとしていれば良いと思うのです。冒険好きの蟻さんならともかく、ダンコ虫さんがなぜ? まさか、押し入れの冒険を求めているわけではないでしょうね。(大阪府/dangoさんのお悩み)
【回答】
餅は餅屋と申します。ダンゴ虫はダンゴ虫です。私の家に3年ほど前からありますチャメドレア・エレガンスの、いつも室内で育てているものを、長期の留守のため室外に出しまして、帰宅して家に上げましたのを、おとといでしたか持ち上げてみますと、ちょうど良い具合にダンゴ虫さんが何匹か、お休み中でございました。ちょっとお待ち下さい、もしもお目ざめのようでしたら、お答えいただけるのではないかと思われます。
何? 押し入れの冒険? ちょーどよかった、あたしゃねえ、前々から言いたかったことがあるわけ。ダンゴ虫ってあーたたち言うでしょうなにげなく。カブト虫とか、ハサミ虫とかと、一緒にしちゃってるわけでしょなにげなく。でもいっとくけどねえ、あたしたちはああいう虫の類とは仲間じゃないのよ。あたしらの足見てよね。6本とかそういうねえ、けちな数じゃないでしょう数えてごらんなさいよあーた。え?何。足の数とか数えてる暇ない?何言ってんだ、ダンゴ虫の世界じゃあねえ、まず足を数えると。足を数えることが、礼儀だと。こういう習慣なわけよ。だってカブト虫とか、ハサミ虫とは足の数が違うわけよ。ああそうだよ、蝶とかね、蟻とかね、蜂とかねえ、みんな6本でしょ、バカにしちゃいけませんよあたしたちを。この足を見なさいよ。なんてきれいなんだろ。いーち、にーぃ、さーん、え、何だって? 床下にじっとしてろ? できませんよそんなこた。だって基本的にねえ、わかんないかなあ、足の数が違うわけなのよ足の数が。なに、日向に出るな? 余計な御世話だよ。あたしたちはねえ、好きで日陰にいるわけなのよ。なにも日陰でなきゃ暮せないわけじゃないのよ。たまたまそっちの方たちは、そうよ、たまたま、その気になったんでしょうよ。知らないよ理由なんてあたしゃー。人間って勝手だよねぇ自分たちは昼行性だか夜行性だかわかんないくせして、肉食だか草食だかわかんないくせして、周りににはへーきで文句つけんのよね。べつにいいけどさ。あたしたちがこーんなせーまい植木鉢の裏で暮してんのは、好きでやってんのよ。いいのよ、いつだって昼日中からそのへん歩いたっていいのよ。その気になりゃーリビングでもどこでも歩けるのよ、こんだけ足あんだからさ。人間もねえ、ちったぁ慎みってもんを知ったらどうなの、慎みってもんをさ。足とか4本しかないくせに。手? 知らないよ手なんてものぁ。え、さっきから押し入れの冒険、押し入れの冒険って何なのよ? やれってんならしてやったっていいけどさ。なにー?おっかないネズミばあさんを相手に大冒険?いやだねあたしゃー。コロン。
以上、チャメドレア・エレガンスの鉢に暮らす、あるダンゴ虫さんのお話をノーカットでお送りいたしました。
暗いところを好むはずのダンコ虫さんが何故にわが家のどこかの隙間からリビングの床まで這い上がってきて、お日様のさんさんと降り注ぐ窓際をうろうろしているのか、教えてください。だいたい、ダンコ虫さんは床下にじっとしていれば良いと思うのです。冒険好きの蟻さんならともかく、ダンコ虫さんがなぜ? まさか、押し入れの冒険を求めているわけではないでしょうね。(大阪府/dangoさんのお悩み)
【回答】
餅は餅屋と申します。ダンゴ虫はダンゴ虫です。私の家に3年ほど前からありますチャメドレア・エレガンスの、いつも室内で育てているものを、長期の留守のため室外に出しまして、帰宅して家に上げましたのを、おとといでしたか持ち上げてみますと、ちょうど良い具合にダンゴ虫さんが何匹か、お休み中でございました。ちょっとお待ち下さい、もしもお目ざめのようでしたら、お答えいただけるのではないかと思われます。
何? 押し入れの冒険? ちょーどよかった、あたしゃねえ、前々から言いたかったことがあるわけ。ダンゴ虫ってあーたたち言うでしょうなにげなく。カブト虫とか、ハサミ虫とかと、一緒にしちゃってるわけでしょなにげなく。でもいっとくけどねえ、あたしたちはああいう虫の類とは仲間じゃないのよ。あたしらの足見てよね。6本とかそういうねえ、けちな数じゃないでしょう数えてごらんなさいよあーた。え?何。足の数とか数えてる暇ない?何言ってんだ、ダンゴ虫の世界じゃあねえ、まず足を数えると。足を数えることが、礼儀だと。こういう習慣なわけよ。だってカブト虫とか、ハサミ虫とは足の数が違うわけよ。ああそうだよ、蝶とかね、蟻とかね、蜂とかねえ、みんな6本でしょ、バカにしちゃいけませんよあたしたちを。この足を見なさいよ。なんてきれいなんだろ。いーち、にーぃ、さーん、え、何だって? 床下にじっとしてろ? できませんよそんなこた。だって基本的にねえ、わかんないかなあ、足の数が違うわけなのよ足の数が。なに、日向に出るな? 余計な御世話だよ。あたしたちはねえ、好きで日陰にいるわけなのよ。なにも日陰でなきゃ暮せないわけじゃないのよ。たまたまそっちの方たちは、そうよ、たまたま、その気になったんでしょうよ。知らないよ理由なんてあたしゃー。人間って勝手だよねぇ自分たちは昼行性だか夜行性だかわかんないくせして、肉食だか草食だかわかんないくせして、周りににはへーきで文句つけんのよね。べつにいいけどさ。あたしたちがこーんなせーまい植木鉢の裏で暮してんのは、好きでやってんのよ。いいのよ、いつだって昼日中からそのへん歩いたっていいのよ。その気になりゃーリビングでもどこでも歩けるのよ、こんだけ足あんだからさ。人間もねえ、ちったぁ慎みってもんを知ったらどうなの、慎みってもんをさ。足とか4本しかないくせに。手? 知らないよ手なんてものぁ。え、さっきから押し入れの冒険、押し入れの冒険って何なのよ? やれってんならしてやったっていいけどさ。なにー?おっかないネズミばあさんを相手に大冒険?いやだねあたしゃー。コロン。
以上、チャメドレア・エレガンスの鉢に暮らす、あるダンゴ虫さんのお話をノーカットでお送りいたしました。
by atohchie
| 2002-04-01 13:17
| 缶詰実験室(お芝居への道)
阿藤智恵の「気分は缶詰」日記/劇作家・演出家・翻訳家(執筆中は自主的に「缶詰」になります)=阿藤智恵の日記です。
by atohchie
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●脱原発世界会議に賛同します。安心できる明日を子どもたちに。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
◆これからの阿藤智恵◆
1月19日
「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
3月8・9日
「『えんげき』のじゆうじかん」の
小さなお芝居の会と「ちえよむ会」
●戯曲集『十六夜の月』を出版しました。
ご購入は阿藤智恵への直接注文または書店にてご注文ください。また、ネット書店でも購入できます。
●受賞しました。
加藤健一事務所vol.83 「シュぺリオール・ドーナツ」
念願の翻訳デビュー、果たしました!
→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。
●戯曲『死んだ女』が雑誌【テアトロ】2013年1月号に掲載されました。
★『どこまでも続く空のむこうに』の劇評をいただきました!!大変な力作です。ぜひご一読ください。2012.4.19
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●戯曲『どこまでも続く空のむこうに』が雑誌【テアトロ】2012年4月号に掲載されました。
●小説『マチゾウ』で同人誌【突き抜け4】に参加しました。
ご購入はこちらへ(「阿藤サイトから」と一言お書き添えくださいませ)。
★『曼珠沙華』の劇評をいただきました!!
ぜひご一読ください。2011.10.26
こちらをクリック=
劇評サイトWonderland
●公演終了しました。
Pカンパニー番外公演その弐「岸田國士的なるものをめぐって~3人の作家による新作短編集~」竹本譲さん、石原燃さんと、短編を1本ずつ書きました。私の作品タイトルは『曼珠沙華』です。
★雑誌『テアトロ』10月号に三本そろって掲載されています。
●連載エッセイ「本日も行ったり来たり~トハナニカ日記~」
雑誌【テアトロ】2012年1月号に最終回が掲載されています。
●日記のお題、ください!
阿藤への質問、お悩み相談、どのようなことでもどうぞ。心こめて書かせていただきます。
お題は阿藤へのメール、または、日記へのコメント(どの記事につけてくださってもOKです)でどうぞ。
●戯曲『十六夜の月』が雑誌【テアトロ】2011年7月号に掲載されました。
●小説『ツヅキ2011』で同人誌【突き抜け3】に参加しました。
ご購入はこちらのフォームへ(「阿藤のブログから」と一言お書き添えくださいませ)。
●戯曲『バス停のカモメ』が雑誌【テアトロ】2010年1月号に掲載されました。
●戯曲『しあわせな男』が雑誌【テアトロ】2008年10月号に掲載されました。
●石井ゆかりさんの
「石井NP日記」で
インタビューを受けました。
こちらの
「ロードムービー・その1」で5番目にインタビューされています。
●阿藤智恵サイトを更新しました更新日:2013年12月31日(火)
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1月19日
「第3回JAZZ&お話ライブ」
1月23日
「どこそら会」
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→本作品で、第5回小田島雄志・翻訳戯曲賞をいただきました。加藤健一さん、演出の大杉祐さんはじめ公演座組の皆さん、また、翻訳作業にお力添えを下さった多くの方々に、心から感謝します。
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